『宗教改革 ルター、カルヴァンとプロテスタントたち (知の再発見双書 75)』
オリヴィエ・クリスタン/訳:木村恵一/監修:佐伯晴郎
創元社<「知の再発見」双書>は、文化史がテーマの叢書。
図版がてんこ盛りなのが特徴で、結構リーズナブル。
フランスの「ガリマール発見叢書」の邦訳シリーズなので、訳者の他に監修が入っている次第。
このシリーズはテーマが細かくて約200ページ程度なので、とにかく読みやすい!
ちょっと気になるテーマがあったらサクッと買ってサクッと読めます。
便利!
というわけで「宗教改革」ですよ。
「オランダの歴史」を読んだら、1ページ目でもうカルヴァン派が爆誕していたからね笑
宗教改革前夜の15世紀末は、とにかく不安の時代。
ペストや英仏百年戦争(だけじゃない)で国土は荒れに荒れ、教会は分裂し(シスマという)とうとう教皇が3人いたりして(なんでやねん)、もう神の救いなんかないんじゃないかと絶望が蔓延する。
そんな社会状況で教会が何をしたかと言うと、有名な「贖宥状」の販売です。
天国の沙汰も金次第である。
1517年にルターが「95ヶ条の提題」を掲げ、あっという間に各地へ宗教改革が広まる。
ルターは既存権力打倒!と言うほどの武闘派ではなかったみたいですが、周囲はそれどころじゃない。誘爆につぐ誘爆。
まあ、宗教改革は起こるべくして起こったと言えましょう。
カトリック教会に命を狙われたルターを匿ったのが、ザクセン選帝侯フリードリヒ賢帝。
この頃は、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の後継問題で皇帝が2年ほど決まらず、選帝侯の立場も強かったそうです。
(ハプスブルク家のカール5世がなると思いきや、フランス王フランソワ1世が立候補して選帝侯の買収合戦でゴタゴタしたやつ)
1525年には「農民戦争」が自然発生。
担ぎ上げられそうになったルターがキレたことでも有名。
(ルターは別に封建制を打倒しようとは思ってない)
1534年にはカルヴァンがカトリック教会と訣別。
カルヴァンの方が、教派の整理や教団運営のシステム化がうまかったそうです。
あとの時代から見ると、そりゃカルヴァン派の方が多数派になるな、と納得します。
1540年には、カトリック派もがんばるぞ!ってことでイエズス会が認可される。
世界の果てまで行ったっきりの人たちである。
16世紀はあっちこっちで宗教戦争。
カール5世がプロテスタント軍に圧勝したり、後継のフェルディナント1世は宗教和議に応じたり。
フランスはサンバルテルミの虐殺(1572年)の後、アンリ4世(ユグノー)が即位。
1598年に「ナントの勅令」で宗教の自由が認められる。
とにかく図版が豊富なので、宗教戦争の凄惨さや人々の辛さがビビッドに伝わってきます。感覚的に歴史がわかりやすくて良い叢書だと思う。
本質的ではないことを言うと、図版が豊富すぎてキャプション読むのが忙しく、本文を読むのが途切れがち。
ただのワガママです笑
