『赤いモレスキンの女』
アントワーヌ・ローラン/訳:吉田洋之
と書くと、個人的には食指が動かないな笑
本や文房具がたくさん出てくるのと、ちょっとした謎解き(人探し)があるのと、大人の落ち着いた恋愛観(もしくは人付き合い)がとてもとても良かったです。
時系列を追うだけではなく過去に飛んだり思索に沈んだり、でも綺麗で読みやすい文章。
好感が持てる主人公と周辺人物。
そして猫!
良いものでできている、良い小説です。
ヒエログリフのネックレスとか、金箔職人とか、小さな本屋の朗読会とか、ディテールがまた素敵なんですよね。
ワインの産地とか料理のレシピとかも良い。
ちょこちょこ実在の作家と作品にも触れられるのですが、タブッキが出てきたのも良かった(『レクイエム』はおもしろい)。
人探しのヒントをくれるのは、パリ在住作家のパトリック・モディアノ氏。
って、めっちゃ会話してるしリュクサンブール公園で散歩してるし、作中人物かと思ったら、実在のノーベル文学賞作家(2014)じゃないですか。
オマージュにしてもモディアノのこと好きすぎやしないか。
拾ったバッグを手がかりに、持ち主を探す主人公を見守りつつ、恋愛には発展できなそうとハラハラする。
が、ヒロインも良い性格だった笑
なるほどそう来るか〜と思いながらページをめくる手が止まらず、半日で読了。
こういう物語に触れられる小説は、良いですね。
