『ホット・ゾーン』リチャード・プレストン/訳:高見浩
エボラ出血熱で知られる感染性ウイルスの“ノンフィクション”です。
スティーブン・キングやアーサー・C・クラークが「怖い!」(意訳)とコメントを寄せるくらい、事実は小説よりも恐怖!な一冊です。
いやほんと怖いんで。元気な時に読んでほしい。
まず私は「エボラ出血熱」というと、アフリカ大陸で何度かニュースになる感染症、くらいの認識しかなくてですね。不勉強で申し訳ない。
この「出血熱」という名前も深く考えたことがなかった。
エボラは感染して症状が進むと、内臓が融解し、出血が止まらなくなる、それも“目、鼻、口、体中の孔という孔から、それは流れ出す”から「出血熱」なのだそう。そして最悪な最期の場合、「炸裂」し「放血」し、周囲にウイルスを拡散するのだ、と。文字通り病室の壁や天井が血まみれになるそうです。このウイルス、悪意に満ちすぎてませんか。意思を持って人間を滅ぼそうとしてないか。と勘繰ってしまうくらい、怖い。
しかもワクチンはまだない。
エボラの前情報だけで怖くて泣きそう。
「あわわわわわ」となりながら、上下巻(500ページ超)を一気に読みました。怖くて途中下車できないやつ!
そんな「エボラ」ですが、こいつには兄弟がいます。マールブルグ・ウイルス(1967年、歴史に登場)、エボラ・スーダン(1976年7月)、エボラ・ザイール(1976年9月)、エボラ・レストン(1989年)の、四兄弟。
こいつらは「フィロウイルス」と呼ばれる種類で、ラテン語で「ひも状ウイルス」のこと。本の表紙にもなっていますが、電子顕微鏡で1万7000倍に拡大撮影された粒子は棒状で、先っちょがくるりん、となっている。「牧羊杖」や「アイボルト」とも言われる見た目です。私はどちらの例えも身近にないのでわからないんですが…。
まあ、そんなフィロウイルス4兄弟、それぞれのウイルスの発生ケースを取材を元に再構成するパートは、疾走感も半端なくて、ここ数年で読んだどのミステリやサスペンスよりもぐぁ〜!ってなりました。
4種ともアフリカ由来と言われていますが、発信源は明確に特定されておらず。マールブルグ(ドイツの都市名。発生&観測された場所にちなむ)はヴィクトリア湖北東、エルゴン山麓のキタム洞窟が怪しい。
一方のエボラ・スーダン、エボラ・ザイールはザイール川(コンゴ川)に流れ込むエボラ川流域で観測されています。地図を見るとエボラ川の水源、ヴィクトリア湖に近そうだなあと感じる。なんとなく、アフリカのど真ん中のあたりがきな臭そうです。
と、考えたアメリカのUSAMRIID(アメリカ陸軍伝染病医学研究所、通称ユーサムリッド)の研究者が探検チームを派遣するパートもハラハラして読んでしまう。
最期にエボラ・レストン。レストンはワシントン近郊の町です。なんでこんなとこにフィロウイルスがいるんかーい!ってとこから殲滅作戦へ。政治的な駆け引きもあったりして、ほんと、そこらへんのフィクションが束になってかかっても勝てないジェットコースター感よ。
とにかく怖い!と言いながら、2日くらいで一気読みしてしまった。凄い本でした!コワやばい!褒めたいけど語彙がない!!
ちなみにこの本の初版は1994年。現在(2025年)のコンゴ民主共和国が「ザイール」という国名だった時代に出版されているので「ザイール」です。
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